eスポーツ・ゲーム・カード大会の大会規約:処分と公表、配信の許諾、賞品の線引き

大会規約は、参加契約、競技ルール、処分の手続、映像の許諾を役割ごとに分けて書きます。参加費を集めて賞品を出すなら、賭博罪と景品表示法の両方から設計します。

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「運営の処分に異議を述べない」と書いてあっても、公表の内容と範囲が相当でなければ、名誉毀損の主張は残ります。

このページの要点

  • 規約・競技ルール・処分の基準・プライバシーポリシーを分け、ルールの改訂と規約の変更で手順を変える(民法548条の4)。
  • 年齢の条件は規約・プライバシーポリシー・申込み画面で同じ扱いにし、確認の方法まで決める。チームは代表者の責任の範囲を分けて書く。
  • 処分は段階と手続(通報、調査、本人の言い分、決定者、通知)を試合の前に示す。公表は目的・範囲・時期・訂正で組む。
  • 参加費を賞金の原資にすると賭博と評価される可能性が高まる。景品表示法、ゲームの権利者の条件、会場開催なら風営法も確かめる。

結論:大会規約は「参加契約」「競技ルール」「処分の手続」「映像の許諾」を役割ごとに分けて書く

eスポーツ・ゲーム大会・カードゲーム大会は、参加者どうしが勝敗を争い、その結果が順位・賞品・次の大会への出場資格に直結します。しかも、試合の様子は動画配信サービスで公開され、ハンドルネームや声、場合によっては顔まで映ります。大会規約には、①誰が参加でき、いつ契約が成立するか、②試合中の規律と異議・再試合の扱い、③違反したときの処分と公表、④映像や個人情報の利用、⑤参加費と賞品の組み方、の五つが必要になります。

書き方の要点は三つです。第一に、規約本体(参加者の権利義務)と、大会ごと・ゲームの更新ごとに変わる競技ルールを分け、変更の手順を別々に決めること。第二に、処分の種類・調査の手順・公表の範囲を、試合の前に参加者が読める形で示すこと。第三に、参加費を集めて賞品を出すなら、賭博罪(刑法185条)と景品表示法の観点から設計を確かめ(会場で参加費を取る場合は風営法も)、あわせてゲームの権利者が公表している大会の開催条件を確認することです。

教室の発表会や外部イベントへの出演、大会の参加費の返金の段階といった基本は発表会・ライブ・大会の参加規約のページで扱っています。このページは、ゲーム・カードの大会を主催する側が規約を一から組むときの、エントリーの設計、異議と処分の手順、公表と配信映像の許諾、賞品と開催権の細部に絞ります。

大会の文書は四つに分ける
文書書くこと変更の手順
大会規約(参加契約)参加資格、契約の成立、禁止行為、処分の種類、映像・個人情報の扱い、免責、準拠法・管轄参加者の権利義務に関わる。変更は効力発生時期を定めて周知する(民法548条の4)
競技ルール(大会ごとの別紙)試合形式、ゲームの設定、ゲームの更新への対応、再試合の要件、当日の連絡手段大会ごと・更新ごとに変わる。規約から「ルールに従う」と参照させ、運営が改訂できる範囲を規約に書く
処分の基準と手順違反の類型ごとの標準的な処分、通報の受付、調査、本人の言い分、決定者、通知と公表不利益に関わる。決定の前に参加者が読める状態にしておく
プライバシーポリシー取得する個人情報、利用目的、保管、第三者への提供、削除の求め個人情報保護法に沿って利用目的を示す(同法17条、21条)。映像の許諾は規約と範囲をそろえる

規約に全部を入れると、ルールを一行直すだけで規約全体の変更の手順が要ります。反対に、ルールの側に処分や映像の許諾まで書くと、参加者が同意したかどうかが曖昧になります。

最初に決めるのは、誰が主催者かです。「大会運営」という名称だけでは、契約の相手方が個人なのか任意の団体なのか法人なのか、規約からは分かりません。賞品の引渡しや参加費の返金を求める相手、処分に不服がある場合の窓口、個人情報の管理者は、すべて主催者です。規約の冒頭に主催者の名称と連絡先を書きます。また、参加費を受けて繰り返し開催する大会では、ウェブ上の申込みが通信販売の「役務の提供」に当たるかどうかの確認が要ります(特定商取引法11条、12条の6、同法施行規則23条)。大会が非営利であると規約に書いたことだけでは、この点は決まりません。

エントリーと参加資格:契約の成立、年齢、チームと代表者

契約の成立は、申込みと承諾が合致した時に生じます(民法522条)。「所定の方法でエントリーを完了した時に成立」と書くのが分かりやすい一方、定員を超えたとき、資格を満たさない申込みがあったときに、成立した契約をどう解消するかを同じ条に書いておく必要があります。選考や抽選のある大会では、エントリーを「申込み」、運営の受理の通知を「承諾」にして、通知までは契約が成立しない形にします。規約が定型約款(不特定多数を相手にする画一的な取引のための条項の総体)に当たる場合、規約の内容が契約に組み込まれるのは、契約の内容とする旨の合意があるか、あらかじめその旨を相手方に表示していたときです(民法548条の2第1項)。エントリー画面に規約の全文へのリンクと同意の欄を置き、同意の記録(日時と規約の版)を残します。

参加資格は、年齢、居住地、使用するアカウントの条件、連絡手段、言語、全試合に出場できることなどです。ここで注意するのは、資格の条件が「運営が確認できるもの」であることです。たとえば、一定期間運用されているSNSのアカウントを持つことを条件にすると、多重参加や成りすましを防ぎやすくなりますが、アカウントの提示という個人情報の取得が伴います。日本語での意思疎通の条件も、運営とのやり取りに必要な範囲を目的に書き、国籍や出身で参加を分ける書き方と区別します。

参加資格を決める順番

  1. ゲームの利用規約や年齢区分が、未成年のプレイや大会の参加を制限していますか。

    はいその制限を大会の年齢条件の下限にそろえる。例外を設けるかは次の問いで決める。

    いいえ大会として年齢を決める。成年は18歳(民法4条)。18歳未満を受けるなら、法定代理人の同意の手順を規約に書く。

  2. 18歳未満の参加を例外的にも認めませんか。

    はい規約・プライバシーポリシー・申込み画面の三か所で「例外なし」にそろえる。

    いいえ法定代理人の同意書の提出、同意の確認方法、同意なき参加の扱いを書く。未成年者が同意なく契約すると取り消せる(民法5条2項)。

  3. 年齢の確認を、どの時点で、何で行いますか。

    はい申込み時の自己申告と確認の欄、疑いがあるときの確認、虚偽が分かったときの処分を書く。

    いいえ年齢の確認方法を決めないまま「18歳未満の個人情報は取得しない」と書くと、書いたことと運用が食い違う。

年齢の条件は、競技の公平性やゲームの規約への配慮から運営が決めるものです。条件の理由を規約に書く場合は、事実と合っていることを確かめます。

事務所の改訂例 18歳未満の参加の扱い

例外の有無

改訂前18歳未満の参加は禁止だが、保護者の同意を運営が直接確認できた場合は例外とする。(当初の案)
改訂後18歳未満の参加は例外を設けない。規約の禁止行為の一覧からも例外の括弧書きを外す。

理由規約・プライバシーポリシー・申込み画面で扱いが違うと、同意書を出せば参加できると誤解した参加者との間で争いになります。扱いは一つに決め、三か所で同じ文にします。

プライバシーポリシーの記載

改訂前運営が個別に認めた場合は、親権者の署名押印のある同意書を条件に例外的に許可する。(当初の案)
改訂後18歳未満の者の申請は受け付けず、個人情報の取得・利用も行わない。虚偽の年齢で参加した場合は出場停止などの措置をとる。

理由年齢確認のために生年月日を取得すると、「個人情報を取得しない」と書いた内容と運用が食い違い得ます。確認の方法を決めたうえで、書き方を運用に合わせます。

18歳未満の参加を受ける大会の契約の組み方(契約者を誰にするか、同意書の取り方)は、未成年・保護者・家族受講と健康の申告のページで扱っています。

チームでの参加では、代表者の定めが重要です。代表者が行う連絡・メンバーの確認・出場の確認の範囲と、メンバーの違反について代表者がどこまで責任を負うかを分けて書きます。「管理責任を負う」とだけ書くと、代表者が違反をしていなくても処分や賠償の相手になると読めます。連絡の窓口を一本にするための代表者なのか、メンバーの行為についてチームを代表して処分を受ける立場なのかを決め、後者なら処分の基準で述べます。

もう一つ、代表者が一括で規約に同意すれば全員が同意したことになるのかという問題があります。映像の利用や個人情報の取得に関する同意は、本人の同意が基本です。メンバーの人数が少ないチームなら、エントリー時にメンバー全員の名前と連絡先を登録させ、各自が規約を確認できるようにします。メンバーの変更を認めるなら期限(試合の何日前までか)と、一度に変更できる人数、チームの最低人数を割り込んだときの扱い(失格か、残りの人数での出場か)を決めます。全試合への出場義務を置くなら、やむを得ない棄権の扱いと、棄権したときに成績の権利を放棄するのか、既に終えた試合の成績は残すのかを分けておきます。

競技中の規律と異議・再試合:期限、証拠、最終の判断者

競技中の規律は、大会ごとに変わるルールの別紙に細かく書き、規約には「ルールに従うこと」「運営の指示に従うこと」と、ルールを運営が改訂できる範囲を書きます。ここで押さえておきたいのは、規約の変更とルールの改訂を同じ手順にしないことです。ゲームの更新に合わせて禁止設定を直す、試合の進行形式を変える、といった運営上の調整は、運営の裁量で行えると書いて差し支えありません。一方、参加者の権利義務に関わる規約の変更は、規約が定型約款に当たる場合、その変更の要件に従います。変更が相手方の一般の利益に適合するか、契約をした目的に反せず変更の必要性と内容の相当性などから合理的であるときに限り、個別の同意なしに変更できます。その場合は効力発生時期を定めて周知する必要があり、合理性を理由とする変更は、効力発生時期の到来までに周知しなければ効力を生じません(民法548条の4第1項、第2項、第3項)。「事前の通知なく任意に変更できる」「通知を発信した時点で効力を生じる」という書き方は、この条文の枠から外れるおそれがあります。

競技ルールで事前に決めておく事象
事象決めておくこと運営が確認する資料
通信の切断全員が同時に切断されたとき、序盤の切断、試合の途中の切断で再試合とする条件試合の録画、配信映像、ゲーム内の記録
不具合・表示の異常致命的な不具合の定義、結果画面が正しく表示されないときの得点の算出方法参加者の録画、スクリーンショット、運営側の観戦映像
設定の誤り試合開始後に設定の誤りに気づいたときの申告の期限と窓口、運営は誤りを指摘しないこと申告の時刻、チャットの記録
得点の同点同点のときの決め方(運営の裁量ではなく、事前に決める順位付けの基準)ルールの別紙
記録の不備結果の報告がないときの得点の算出の優先順位、故意に報告しなかったときの扱い各チームの報告、運営の記録

同点や報告漏れの扱いを「運営の裁量」とだけ書くと、結果が出てから決めたと受け取られます。基準は事前に示します。

異議の期限は短すぎても長すぎても困ります。試合の終了直後に限ると録画を確かめる時間がなく、正当な異議まで締め出します。長すぎると、次の試合や順位の確定が遅れます。次の試合の準備が完了するまでを期限とし、申し立ての窓口(専用のチャンネルなど)と、申し立ての方法(担当者に宛てた書き込み)を定めた例があります。

事務所の改訂例 異議の期限と、法的措置の位置づけ

異議の期限

改訂前異議の申立ては試合の終了直後に限り、後日の申立ては理由のいかんを問わず無効とする。(当初の案)
改訂後次の試合の準備が完了するまでの間に申し立てる。以降の試合に進行した後の申立ては無効とする。

理由録画を見直す時間を残し、かつ試合の進行を止めない範囲に収める書き方です。

紛争の扱い

改訂前悪質な妨害行為や違反行為には、損害賠償その他の法的措置をとる権利を有する。(当初の案)
改訂後まず誠実に協議する。重大な妨害行為や違反が確認された場合に限って法的措置を検討し、通常の違反や軽微なトラブルは注意・警告や出場停止などの大会内の処分を原則とする。

理由大会内の処分で解決する道筋を先に示すと、参加者どうしの争いがSNSに持ち出される前に処理できます。

異議への判断を「最終的かつ拘束力のある決定」とする定めは、勝敗や再試合の可否という競技の判定の範囲では、大会の運営に欠かせません。もっとも、すべての紛争について参加者が裁判所の判断を求める余地を一切封じる趣旨に読める書き方は、民法90条(公序良俗)の問題になり得ます。参加者が消費者に当たる場合は、消費者契約法10条(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)にも注意が要ります。「競技の判定は審判の裁定による」と範囲を限定し、それ以外の事項は協議と管轄の定めに任せる構成が、運営にとっても説明しやすい形です。

証拠の責任も整理します。参加者に自分のプレイの録画を保存する義務を課し、異議や不正の調査のときに提出を求める定めは、運営が一次の証拠を持たない大会では有効です。ただし、運営の側にも観戦映像や配信の記録があるなら、それを先に確認することを手順に入れておきます。録画を保存する義務を全員に課すことが現実的かどうか(機材や容量の負担)、保存の期間(異議の期間と調査の期間)、録画に他の参加者が映る場合の扱いも決めておきます。また、当日の連絡手段を運営のチャットツールに一本化し、SNSや個人宛てのメッセージでの連絡を認めないと決める例では、通知がいつ到達したと扱うかを書きます。意思表示は相手方に到達した時から効力を生じます(民法97条1項)。チャットの書き込みを確認する義務を参加者に課し、書き込みの時点で周知されたとみなす定めを置きます。通信の障害や機材の故障、会場での事故といった大会の運営側の責任の限り方は、事故と免責のページで扱う消費者契約法8条の考え方が、そのまま当てはまります。

処分と公表:種類、手続、連帯処分、過去の違反歴、通報の受付

処分の種類を段階で示す

  1. 警告(注意喚起)初回の軽微な違反。競技の公平性や進行に大きな影響がないとき。再発・累積があれば次の段階へ。
  2. 当該試合の無効化・成績の取消し試合の結果に影響する違反。無効にした後の再試合や得点の扱いを決めておく。
  3. 当該大会からの失格虚偽の報告、なりすまし、替え玉出場、不正なツールの使用など、公平性を著しく損なう行為。
  4. 一定期間の出場停止期間と対象の大会(1大会以上)を示す。期間が終わった後の復帰の条件も決める。
  5. 永久の出場禁止重大な違反や再犯。決定者と手続を他の段階より厚くし、通知に理由を書く。

処分の内容は、違反の性質・重大性・継続性・過去の行為歴・影響の範囲を総合して決めます。考慮する要素を規約に書いておくと、同じ違反に違う処分が出た理由を説明できます。

処分の規定で最も不足しやすいのは手続です。通報の受付(実名と証拠の添付を求めるか)、調査の担当者、当事者への聞き取り、決定する人(運営の一人か、複数人の合議か)、通知の方法と記載事項(違反の内容、根拠となる規定、処分の内容と期間)を定めます。通報者への結果の回答の義務を負わない旨を書くのは、通報者のプライバシーや調査の秘密の観点から合理的ですが、通報が受理されたかどうかを知らせるかどうかは決めておきます。調査の結果が出る前の一方的なSNS発信を参加者に禁じる定めを置くなら、運営の側も調査中の事案を公表しないと書くと公平です。

チームの連帯処分は、一人の違反がチーム全体の失格につながり得る定めです。チーム外の者が通話に入った、サブアカウントで出場したというような違反は、チーム全体に責任を負わせる理由が説明しやすい一方、メンバー個人の言動(暴言など)まで連帯させる理由は薄くなります。連帯させる違反の類型を限定し、どの行為が連帯の対象かを処分の基準で示します。

他の大会での違反歴を理由とする出場の拒否は、処分というより「参加を断る」性質の定めです。期間を区切り(たとえば開催日から一定の日数以内に確認された違反)、対象の行為を限定し(煽り行為、不正行為、公知のバグの利用など)、複数回の違反があったときの例外を示します。公知かつ明確な不具合の利用だけを対象にし、ゲーム上は認められている動きを対象外と明示する例もあります。対象外を書いておくと、「それは違反ではない」という異議を減らせます。

事務所の改訂例 他の大会の違反歴を理由とする出場の拒否

対象となる違反歴

改訂前他大会における過去の違反歴(煽り行為・チート・バグ利用等)が明確であり、本大会の競技性・信用性を著しく毀損すると認定される者の出場を認めない。(当初の案)
改訂後開催日から起算して一定の日数以内に、他の大会または公開マッチで、煽り行為、不正行為、公知かつ明確なバグの利用などの違反歴が確認されている者の出場を認めない。複数回確認されている場合や通報・証明がある場合は、期間より前の行為も含めて永久の出場禁止の対象とすることがある。ゲーム上の動きのうち、大会として違反の対象にしないものを明記する。

理由「著しく毀損すると認定される」という基準は、誰がどの資料で判断するのかが読み取れません。期間・行為の類型・資料を示すと、運営と参加者の双方が事前に判断できます。

処分の公表は、目的・範囲・時期・訂正の四点で組みます。目的は、大会の秩序の維持と再発の防止です。範囲は、ハンドルネームと処分の内容・期間までに絞り、実名、SNSアカウント、違反の詳細な経緯、他の参加者の情報は出さない書き方が基本です。時期は処分が確定した後で、調査中は公表しません。訂正は、公表の後に誤りが分かったときに、訂正と撤回の手続をとるという運営側の約束です。

規約には、処分の公表について「処分対象者は名誉毀損・プライバシー侵害その他の異議を申し立てない」と定める例があります。この種の定めがあっても、公表の内容が事実に基づき、範囲が目的に照らして相当であることが、公表の適法性を支える実質です。契約で事前に権利行使を一切封じる書き方は、民法90条の問題になり得ますし、参加者が消費者に当たる場合は、事業者の損害賠償責任を免除する条項を無効とする消費者契約法8条や、同法10条の問題にもなります。そこで、「異議を述べない」と書くより、「公表の目的・範囲・手順に同意し、運営は誤りがあれば速やかに訂正する」と書く方が、運営が実際に守るべき水準を示しつつ、参加者の納得も得やすくなります。ただし、公表が許されるかどうかは個別の事案で判断されるものですので、このページは一般的な書き方の整理にとどまります。

条文例処分の公表(書き方の例)

  1. 運営は、参加者の違反行為について処分を決定した場合、大会の秩序の維持及び再発の防止のため必要な範囲で、処分の概要(ハンドルネーム、違反行為の類型、処分の内容及び期間)を公表することがあります。
  2. 運営は、前項の公表を、処分の決定の通知をした後に行い、調査中の事案については公表しません。公表する内容には、処分を受けた者の氏名、連絡先その他の個人情報を含めません。
  3. 運営は、公表した内容に誤りがあることを知ったときは、速やかに訂正し、又は公表を撤回します。
  4. 参加者は、第1項に定める範囲の公表について同意します。

条文例は一般的な書き方の例です。実際の大会では、処分の基準とあわせて、通知の方法や公表の媒体を決めます。

配信映像・ハンドルネーム・声の利用:許諾の範囲を段階で書く

大会の映像は、動画配信サービスでのライブ配信、アーカイブの公開、結果の発表、広報、さらには広告収益やグッズ、協賛企業への提供へと広がり得ます。参加者に「映像・ハンドルネーム・声・肖像を、無償・無期限・国内外・商業利用を含めて利用することに同意し、一切の権利を行使しない」と一括で書かせる例は多いのですが、参加者が何に同意したのかが曖昧になり、争いになりやすい形です。利用の目的ごとに段階を分けて書くと、同意の対象が明確になります。

映像・情報の利用を段階で分ける
段階利用の例書き方の要点
配信・記録ライブ配信、アーカイブの公開、結果と戦績の発表大会の実施に必須。参加の条件として同意を得る。アーカイブの公開期間も決める
広報・告知大会の宣伝、告知画像、まとめ動画、報告書大会の宣伝に必要な範囲。編集の方法(切り出し、字幕の付与など)を例示する
商業的な利用広告収益、グッズ、書籍、協賛企業への映像の提供参加条件にするのではなく、範囲と対価の有無を明示して別の同意とするか、利用の上限を書く

商業的な利用まで参加の条件にすると、参加を希望する人が選択できません。映像の一部に参加者が写る場合のほか、顔が映らない場合でも、声や画面上の名前から本人が特定されることがあります。

権利の面では、参加者のプレイ映像は、そのゲームの権利者の権利(ゲームの映像や音声の著作権)と、参加者自身の権利(声、肖像、ハンドルネーム、プレイの内容)が重なっています。大会の主催者が参加者の同意を得るだけでは、ゲームの権利者との関係は解決しません。ゲームの権利者が、配信や大会の開催について条件(開催の許諾、賞金や参加料の制限、配信の可否)を公表している場合があるため、規約を作る前にその条件を確認します。一般社団法人日本eスポーツ連合が公表している「かんたんeスポーツマニュアル」(表紙の表記はVer.1.0、2021年5月)は、ゲームの著作権を持つ会社に大会の概要を伝えて許諾を得ることと、会社によっては賞金額や参加料などに制限をしていることがあるため事前に確認することを述べています。同書は、記載した法律上の見解は一般論としての同連合の見解をまとめたもので、個別の事例について法律上の判断を示したものではないと断っています。このページがこのマニュアルに触れる箇所は、いずれも同連合の見解の紹介であり、法令や行政機関の判断ではありません。現行の版は同連合の公式サイトで確認してください。

参加者の権利のうち、著作者人格権は著作者の一身に専属し、譲渡できません(著作権法59条)。そこで、「著作者人格権を譲渡する」とは書けず、「行使しない」という形で書くことになります。ただし、一切の権利を包括的に行使しないとする書き方は、利用の目的・範囲・期間が特定されず、民法90条や、参加者が消費者に当たる場合の消費者契約法10条の問題になり得ます。利用の目的、媒体、期間、編集の範囲を絞って書く方が安全です。再編集や二次利用(切り出し、字幕、要約など)を認める場合も、参加者が事前に内容を確認する機会を設けない旨を書くなら、その範囲を限定し、本人の名誉や信用を傷つける編集は行わないと運営の側から約束すると、同意を得やすくなります。

撤回や削除の求めの扱いも決めておきます。大会が終わった後でも、参加者が個人情報の利用停止や削除を求めたときの対応(合理的な範囲で削除や匿名化を行う)を書いておきます。動画配信サービスに公開済みの映像は、運営が削除しても第三者による複製が残ることがあるため、その点を事前に説明します。映像の同意の取り方については撮影・録画・肖像・配信の同意のページで、段階的な同意の考え方を扱っています。

プライバシーポリシーでは、取得する情報(氏名またはハンドルネーム、SNSアカウント、ゲーム内のID、チーム名、チャットツールのアカウント、試合の映像と音声)、利用目的(個人情報保護法17条で「できる限り特定」)、利用目的の通知または公表(同法21条)、保管の方法と期間、協賛企業や委託先への提供(同法27条の本人の同意、同法25条の委託先の監督)、削除の求めの窓口を書きます。外国にあるサービスのサーバーに保管する場合は、同法28条の外国にある第三者への提供の制限に当たるかを確かめます。規約とプライバシーポリシーの両方に映像の許諾を書くときは、範囲を一致させます。片方だけが二次利用や編集を広く認めていると、参加者が同意した範囲が読み取れなくなります。許諾は規約に一本化し、プライバシーポリシーは情報の取得・利用・管理に絞って、規約を参照させる構成にすると、食い違いが生じません。

参加費と賞品:賭博罪と景品表示法、風営法の確認、開催権の契約

参加費を集めて賞品を出す大会の設計では、三つの法令を別々に確かめます。賭博罪は、賭博をした者を50万円以下の罰金または科料に処するもので、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは処罰されません(刑法185条)。常習として賭博をした者は3年以下の拘禁刑とされています(同法186条1項)。参加者から集めた参加費を賞金の原資にすると、参加者どうしの間で金銭の得失が移る形になり、賭博と評価されるおそれがあります。ただし、個別の大会が賭博に当たるかは、賭けの対象や勝敗の決まり方などを踏まえた個別の判断であり、このページで断定できるものではありません。

参加費と賞品の組み方
組み方整理確認すること
参加費なし・主催者が賞品を用意参加者が金銭を出さないため、賭けに当たる要素は乏しい。景品表示法は、取引に付随する提供かどうかで判断される賞品の価額、主催者の事業との関係
参加費あり・参加費は運営費のみ、賞品は別の原資賞金・賞品を参加費から出さない設計。日本eスポーツ連合のマニュアルは、見解として、参加料を運営費に充て、賞金は協賛社が出す形を挙げる原資の出所を書面で分ける。主催者の関係会社が協賛社になる場合は、実質的に参加費から出ていないか確かめる
参加費あり・全員に参加費に見合う価値を提供結果に関わらず、参加者全員が参加費に見合う価値(参加賞、体験、配信の視聴権など)を受ける設計も考えられる。ただし、賞金・賞品の原資が参加費かどうかが中心の論点で、この設計だけで賭博罪や景品表示法の問題が解消するとは限らない価値が参加費に見合うか。結果に依存しないか。賞金・賞品の原資の出所
参加費を原資とする賞金賭博と評価される可能性が高まる。同マニュアルも、参加料から賞金を出すと賭博と判断され得るとする。避けた設計が一般的この形を採るなら、賭けの性質を含めて慎重な検討が必要

日本eスポーツ連合のマニュアルは、同連合が一般論としてまとめた見解で、法令そのものでも、裁判所や行政機関の判断でもありません。大会の形によって扱いが変わるため、このページは確認の観点を示すにとどまります。

景品表示法は、事業者が顧客を誘引する手段として、自己の供給する商品または役務の取引に付随して相手方に提供する経済上の利益(景品類)について、内閣総理大臣が価額の最高額や提供の方法などを制限できるとしています(同法2条3項、4条)。消費者庁は、くじなどの偶然性のほか、競技や遊戯の優劣で景品類を提供する方法も「懸賞」として説明しています。懸賞の制限を定める告示(「懸賞による景品類の提供に関する事項の制限」昭和52年公正取引委員会告示第3号)は、一般の懸賞について、取引価額が5,000円未満なら取引価額の20倍、5,000円以上なら10万円を景品類の最高額とし、総額は懸賞に係る取引の予定総額の2%までとしています。ただし、大会の賞品がそもそも景品類に当たるかは、まず「取引に付随」する提供かで分かれます。運用基準は、取引を条件として他の経済上の利益を提供する場合は「取引に付随」する提供に当たるとする一方、正常な商慣習に照らして取引の本来の内容をなすと認められる経済上の利益の提供は「取引に付随」する提供に当たらないとしています。参加費を受けて大会という役務を供給し、優勝者に賞品を出す形がどちらと見られるかは、賞品の額や大会の性格によって変わり得るため、このページでは断定しません。なお、日本eスポーツ連合のマニュアルは、景品表示法は主にゲームを販売する会社が気をつける法令で、ゲーム会社が関与しない第三者の大会は原則として対象外としつつ、主催者が販売する商品やサービスの購入を参加条件にする場合などは注意が必要としています(同連合の見解です)。また運用基準は、営利を目的としない協同組合・共済組合等でも、商品や役務を供給する事業については事業者に当たるとしています。非営利を掲げる大会でも、役務を供給して参加費を受ける以上、事業者に当たるかを確かめる余地があります。賞品の額は上記の限度を一つの目安とし、ゲームの権利者が賞金額や参加料に制限を設けている場合はそれにも従います。

風営法との関係は、会場に家庭用ゲーム機やアーケードゲーム機を置き、参加費を取って遊技をさせるオフラインの大会で問題になり得ます。風営法は、スロットマシン、テレビゲーム機その他の遊技設備で、本来の用途以外の用途として射幸心をそそるおそれのある遊技に用いることができるもの(国家公安委員会規則で定めるものに限る)を備える施設で、その設備により客に遊技をさせる営業を、風俗営業の一つとしています(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律2条1項5号。同項4号は、まあじゃん屋、ぱちんこ屋その他、設備を設けて客に射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業)。大会がこれらに当たるかは、使う機器、参加費の性質、賞品の有無などによって変わり、個別の判断になります。日本eスポーツ連合のマニュアルは、同連合の見解として、参加料を「大会設営費用の総額÷最大参加者数」以下に抑えれば風営法の対象とならないことを警察庁に確認したとしています。また、会場施設で行われずオンラインで完結する大会や、パソコンやスマートフォンなど汎用性のある機器のみを使う大会(ゲーム以外の機能が現実に利用できる状態に限る)は、この点の問題にならないとしています。会場での有料の大会を開く場合は、これらを手がかりに、参加費の額の決め方を確認します。会場に観戦者を入れてチケットを販売する場合は、ライブ・公演・イベントのチケット規約のページで扱う、転売の禁止、中止時の払戻し、入場の拒否の定めが必要になります。

賞品については、転売・換金の禁止も定めます。商品券を賞品にする大会では、換金・譲渡・転売を禁止して、賞品が金銭の代わりとして流通することを防ぎます。複数のアカウントの作成、自動化プログラムによる参加、景品の転売を禁止する規約と、システム障害のときに大会を中止する、結果を無効にする、再実施する、参加費を返金する、のいずれかを選べると定める規約が、景品付きのイベントでは用いられています。大会でも、障害で勝敗が左右されたときの扱いを事前に決めておきます。

地域開催権の契約は、主催会社が各地の店舗に大会の開催を認める場合の契約です。主催会社が開催権を非独占・譲渡不能で与え、契約期間をリーグの期間に合わせ、参加費は開催店舗の収益、賞品は店舗の負担とし、景品表示法などの遵守は店舗の責任とした例があります。この種の契約で確認する点は、①開催頻度の義務と契約期間が合っているか(契約期間より長い期間を前提にした回数の定めが残っていないか)、②主催会社が運営マニュアルを一方的に改訂できる範囲と、店舗が不利益を受けるときの扱い、③名称・ロゴ・マニュアルの権利が主催会社に帰属し、契約の終了後は使用を止めること、④ゲームの権利者の条件と、本部・店舗の契約の関係、⑤不可抗力が長引いたときの解除、です。契約期間と回数を契約書の別々の条で定める場合は、数字がずれていないか、書き終えた後に一つずつ照らします。

大会規約を決める前に整理すること

  1. 主催者は誰か。個人か、団体か、法人か。契約の相手方、返金や賞品の引渡しの請求先、個人情報の管理者が決まります。
  2. 参加費はあるか。使い道と賞品の原資は。賭博罪と景品表示法の確認の出発点です。原資の出所は書面で分けます。
  3. 参加者の年齢の条件と、確認の方法は。規約・プライバシーポリシー・申込み画面で同じ扱いにします。
  4. チーム参加か。代表者の責任の範囲とメンバーの変更の期限は。処分の対象と、個人情報・映像の同意を誰から得るかが決まります。
  5. 処分の種類、決定者、本人の言い分を聞く手順、公表の範囲は。処分の基準と手順を、試合の前に示します。
  6. 映像を使う範囲は、配信・広報・商業のどこまでか。ゲームの権利者の条件は。許諾の範囲を段階で書き、権利者の条件を確認します。

大会規約で起きがちなこと

よくあるご質問

参加者に「運営の処分には異議を述べない」と同意させれば、処分の公表で名誉毀損と言われませんか。

条項があるだけでは足りません。公表の内容が事実に基づき、範囲が目的に照らして相当かが実質です。事前に権利行使を一切封じる書き方は、民法90条の問題になり得ますし、参加者が消費者に当たれば消費者契約法8条、10条の問題にもなります。公表の目的・範囲・時期、誤りを訂正する運営側の約束を書き、「その範囲の公表に同意する」とする方が、運営にとっても安全です。

18歳未満を受け付けないと書いたのに、申込み時に生年月日を取ると矛盾しますか。

運用が書き方と食い違います。年齢の確認方法を決め、申込み画面では年齢要件の確認欄を置き、疑いがあるときに限って確認するなど、実際の運用に合わせて「個人情報を取得しない」の範囲を書きます。18歳未満を一切認めない扱いは、規約・プライバシーポリシー・申込み画面で同じにします。

参加費を集めて賞品を出すと賭博になりますか。

参加費を賞金の原資にすると、参加者どうしで金銭の得失が移る形になり、賭博罪(刑法185条)に当たると評価される可能性が高まります。参加費は運営費に充て、賞金や賞品は参加費と別の原資から出す設計は、日本eスポーツ連合のマニュアルでも同連合の見解として示されています。ただし、形によって判断は異なりますので、原資の出所を分けて書面で残すことが出発点になります。景品表示法の上限や、ゲームの権利者の条件も別に確かめます。

チームの代表者が規約に同意すれば、メンバー全員の映像の利用に同意したことになりますか。

映像や個人情報の利用に関する同意は、本人の同意が基本です。代表者の同意だけで足りると書いても、メンバー個人が納得していなければ争いになります。エントリー時にメンバーの名前と連絡先を登録させ、各自が規約を確認できる設計にするか、メンバーごとの同意を取ります。

大会の途中で規約やルールを変えたいときは、どうすればよいですか。

ルールの改訂(ゲームの更新への対応、進行形式の調整)は、運営の裁量で行えると規約に書いておきます。参加者の権利義務に関わる規約の変更は、民法548条の4の要件に従い、効力発生時期を定めて周知し、合理性を理由とする変更は、その時期が来るまでに周知します。「通知なく任意に変更できる」「発信した時点で効力を生じる」という書き方は、この枠から外れるおそれがあります。

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本ページは一般的な情報提供です。法令の運用や行政の解釈は、改正や個別の事情によって変わることがあります。事務所の改訂例・ご相談の事例として紹介している内容は、アトラス行政書士法人が作成・レビューしてきた教室の会員規約・受講規約・受講契約書・入会申込書、語学教室の概要書面・契約書面、ワークショップ・海外プログラム・大会の参加規約、講師・スタッフとの業務委託契約書、スタジオの利用規約・利用契約書、予約プラットフォームの規約などを、個別の事業者が特定できない形に整理したものです。条文は e-Gov法令検索で確認しています(最終確認日:2026年10月20日)。参考: e-Gov法令検索 / 特定商取引法ガイド(消費者庁) / フリーランス法特設サイト(公正取引委員会) / 観光庁

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