発表会・ライブ・大会・コンテストの参加規約

発表会や大会は、ふだんのレッスンとは別のお金と別のルールが動く場面です。

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発表会の衣装代を「いかなる理由でも返金しない」と書いていると、発注前の取消しまで全額を取ることになります。

このページの要点

  • 発表会の参加費・衣装代は、発注・手配が進む時期に合わせて返金の割合を段階的に下げる。
  • 生徒を外部の現場に出すなら、参加の任意性、選ぶ基準、交通費・宿泊費の負担を場面ごとに書く。
  • 大会は、参加資格・異議の期限・処分の基準と手続・公表の範囲を、試合の前に示す。
  • 参加費と賞品は、使い道と原資を分けて示し、賭博罪と景品の規制を確かめる。

結論:発表会・大会は「参加の任意性」「費用の返金の段階」「処分の手続」を先に決める

教室の発表会やライブ、外部のイベントへの出演、ゲームやカードの大会、コンテストは、ふだんのレッスンや利用とは別のお金と別のルールが動く場面です。参加費や衣装代はいつまでなら返すのか、全員参加にしてよいのか、生徒を現場に出すとき交通費や宿泊費は誰が払うのか、大会の失格や出場停止をどう決めてどう公表するのか、参加費を集めて賞品を出してよいのか。どれも、ふだんの会員規約や利用規約の条だけでは決まりません。

書き方の要点は三つです。参加を義務にするのか任意にするのかを明記し、任意なら参加しないことで不利益に扱わない範囲を決めること。費用は、発注や手配が進む時期に合わせて返金の割合を段階的に下げること。大会では、出場の資格・異議の期限・処分の基準と手続・公表の範囲を、試合の前に示しておくことです。このページでは、ダンス・体操のスタジオの発表会、着付け教室の現場活動、ボイストレーニングの講座の特典、オンライン対戦ゲームの大会、景品付きのビンゴイベント、カードゲームの大会の書類から整理します。

発表会の参加費・衣装代:段階的な返金と、本文どうしの一致

子ども・大人向けのダンス・体操のスタジオの会員規約では、発表会の参加費・衣装代の条を改訂しました。

事務所の改訂例 スタジオの発表会の条

キャンセルと返金

改訂前発表会の参加費・衣装代は、いかなる理由によっても返金しない。(当初の案)
改訂後参加の申込み後のキャンセルは、申込月の翌月末までなら全額を返金し、翌々月末までなら参加費の50%を返金し、それ以降は返金しない。参加費・衣装代はクレジットカード又は口座振替で納める。

理由衣装の発注や会場の手配が進む時期に合わせて返金の割合を下げれば、まだ費用がかかっていない時期の取消しまで全額を取る形を避けられます。

開催の頻度

改訂前ある条では発表会を「年2回」、別の条では「2年に1回」としていた。
改訂後本文の頻度を「2年に1回」にそろえる。

理由頻度が食い違うと、参加費や練習の負担の前提が崩れます。同じ事項は一か所で決め、他の条はそこを参照させます。

改訂では、外部のイベントは任意参加で、その都度申込みの手続と費用がかかること、発表会・外部イベントに参加しないことでレッスンの内容が一部変わっても補償はしないことも定めました。教室の発表会と外部の催しへの出演は、参加の性質も費用の流れも違うためです。

発表会を原則として全員参加にしている教室は少なくありません。全員参加にするなら、参加しない生徒の扱い(レッスンの中で発表会の練習をする期間があること、その間のレッスンの内容が一部変わること)と、参加費が発生する時期を入会の時点で示しておきます。発表会の費用は月謝とは別の契約に近いものなので、申込みの方法(申込書か、フォームか)、申込みの締切、キャンセルの受付の方法を、発表会ごとの案内ではなく規約か要項で決めておくと、毎回の案内に条件を書き忘れることがありません。

衣装代は、生徒の寸法に合わせて発注するものや、教室が一括で手配するものがあり、発注した後の取消しでは教室の側に実費が残ります。段階の境目は、衣装の発注日、会場や外部スタッフの手配の日など、費用が確定する日を基準に置くと説明しやすくなります。返金しない部分が、その時期に教室に生ずべき平均的な損害を超えないこと(消費者契約法9条1項1号)を意識して段階を決めます。

衣装を生徒が買い取るのか、教室が貸すのかでも、キャンセルのときに返すものが変わります。買い取る衣装なら、発注した後の取消しでも衣装そのものは生徒に渡すのか、教室が引き取るのかを決めます。教室が貸す衣装なら、着物や帯などの貸与物と同じく、所有権が教室にあること、汚損・破損したときの扱い、返す期限を書いておきます(貸与物の書き方はスタジオ・教室スペース・予約プラットフォーム・出店)。

全員参加の発表会で、参加費を月謝と一緒に自動で引き落とす形にすると、生徒の側には参加を申し込んだという意識がないまま費用が発生します。参加費の発生を、参加の申込み(又は参加しない旨の申出の期限)に結び付けておくと、後から「申し込んだ覚えがない」と言われずに済みます。

発表会は、写真や動画が最も多く撮られる場でもあります。スタジオの会員規約では、レッスンの風景や発表会の様子をSNSで配信することがあり、支障がある場合は入会時又は撮影の前に申し出てもらう形をとっていました。教室が撮って広報に使う場合と、保護者が客席から撮って投稿する場合とでは、決めておくことが違います。他の生徒が写り込んだ動画の投稿をどう扱うかを含め、発表会の案内の段階で撮影のルールを示しておきます(撮影・録画・肖像・配信の同意)。

生徒を現場・外部のイベントに出すとき:任意性・服装・交通費・宿泊

着付け教室では、生徒が技術を身に付ける過程で、成人式・卒業式・婚礼などの出張の着付けの現場や、学校の授業、地域のボランティアに参加する機会があります。教育の一部なのか、教室の業務の手伝いなのかが曖昧なまま生徒を現場に出すと、参加を断った生徒の扱いや、交通費・宿泊費の負担で揉めます。教室利用規約と入会申込兼受講契約書では、次のように定めていました。

着付け教室の現場活動の取り決め
項目定め
位置付け技術の向上と実践経験のための参加の機会を「提供する場合がある」。参加が当然に保証されるものではない
参加の可否・役割技能・協調性などをもとに教室が決める
服装白のブラウス・黒のジャケットなど、現場の服装を指定する
ボランティア自由意思による任意の参加。参加しないことだけを理由に不利益に扱わない
交通費原則は自己負担。主催者から支給があった範囲で支給する
宿泊成人式などで教室が宿泊を指定したら教室の負担。取引先からの支給がない現場で、教室が必要と認めたら折半

参加の機会を「提供する場合がある」と書き、参加できることを保証しない形は、現場の数や取引先の要望によって、全員に機会を用意できるとは限らない現場の性質に合わせた書き方です。反対に、参加できる人を教室が選ぶ以上、選ぶ基準(技能・協調性など)を書いておくと、選ばれなかった生徒への説明がしやすくなります。

入会申込兼受講契約書の改訂版では、内部講師・現場着付師・現場リーダーなどの立場の人は、成人式などの重要な現場に原則として参加しなければならない、と改められています。依頼者の運営方針を反映したものと見られます。参加を求めるなら、どの立場の人に、どの現場への参加を求めるのかを具体的に書くことが要点です。講師やスタッフとして報酬を得て現場に入る人の契約は、生徒としての規約とは別に、講師・出演者・スタッフとの業務委託で扱う業務委託の契約で整えます。

交通費の「原則は自己負担、主催者から支給があればその範囲で支給」、宿泊費の「教室が指定したら教室の負担、必要と認めたら折半」という書き方は、生徒・教室・取引先の三者のお金の流れを、場面ごとに一行で決めています。遠方の現場や泊まりがけの遠征がある教室では、こうした負担の割合を決めておかないと、事後の精算で揉める原因になります。宿泊を伴う遠征・合宿で参加費を集める場合の取消料はツアー・遠征・海外プログラムの取消料と旅費で扱います。

講座の特典としてのイベント・ライブ

ボイストレーニング・歌唱指導の講座の利用規約では、会員サイトの動画講座や限定のイベント、ライブなどを特典として付けていました。当初の案は、特典を受講期間が終わった後も継続して受けられると読める書き方でしたが、改訂で、特典は「受講期間中又は別途定める閲覧可能期間内に限り」提供し、内容の変更や終了で継続的な利用を保証しない、と定めました。特典の終わりの時期を書いておかないと、受講が終わった人から「ずっと見られるはずだった」と言われます。

月謝制のボイストレーニングのスタジオでは、レッスンの通訳やライブへの同行もサービスに含めていました。こうした付随のサービスは、レッスンの本体と同じ条件で必ず提供するのか、機会があれば提供するものなのかを書き分けておきます。特典やイベントを申込みの決め手として宣伝しているなら、それを提供できなくなったときの扱い(代わりの特典、料金の調整)まで決めておく必要があります。

大会・コンテストの参加規約:資格・出場・異議・処分

非営利で配信もするオンライン対戦ゲームの大会の規約は、初版から修正版3まで改訂を重ね、依頼者の運営のルールを反映していきました。大会の規約で決める事項を、修正版3の内容から整理します。

オンライン対戦ゲームの大会規約で決めていた事項
項目内容
参加の資格満18歳以上で高校に在学していないこと、日本語で意思疎通ができること。18歳未満の申請は受け付けず、個人情報も取得しない
チームの代表者代表者がメンバーの管理の責任を負う
出場全試合への出場の義務。棄権したときは成績を放棄する。メンバーの変更は2日前まで
試合中ボイスチャットへの常時入室、サブアカウントの禁止
証拠試合の録画の保存と、異議を述べる側の証拠の提出の責任
異議次の試合の準備が完了するまでに申し立てる。再試合の要件を定める
出場の拒否180日以内に他の大会で違反の履歴があれば出場を断れる(複数回なら永久)
禁止行為八百長、他の参加者の晒し、調査結果の公表前の一方的な発信
紛争まず協議し、大会内の処分で解決することを原則とする

事務所の改訂例 異議の申立ての期限

異議の期限

改訂前試合の終了直後に限る。(当初の案)
改訂後次の試合の準備が完了するまでに申し立てる。

理由試合の終了直後だけでは、録画を確かめる時間がなく、正当な異議まで締め出してしまいます。次の試合に影響しない範囲で、確かめる時間を残す書き方です。

紛争の扱い

改訂前定めなし。
改訂後紛争が起きたときは、まず協議し、大会内の処分で解決することを原則とする。

理由参加者どうしの争いがSNSに持ち出される前に、大会の中で処理する道筋を示します。

処分の基準と手続は、試合の前に示しておくことが何より大切です。どの行為がどの処分(警告、失格、出場停止、永久の出場禁止)になるのか、誰が調査し誰が決めるのか、処分の前に本人の言い分を聞くのか、処分を公表するならどの範囲(ハンドルネーム、処分の内容)を公表するのかを書きます。調査の結果が出る前の一方的な発信を参加者に禁じるなら、運営の側も、調査中の事案を公表しない、と書いておくと公平です。チームの一人の違反でチーム全体を処分する連帯の処分を置くなら、その基準も示します。チームの代表者に管理の責任を負わせるのは、運営からの連絡の窓口を一本にし、メンバーの変更や出場の確認を代表者を通じて行うためで、代表者が負う責任の範囲(連絡・確認なのか、メンバーの違反の責任まで負うのか)を書いておくと、処分の場面で争いになりません。

18歳未満の申請を受け付けない設計は、対象のゲームで未成年のプレイが禁じられていることなどに合わせたものです。年齢で参加を絞るなら、申込みの時点での年齢の確認の方法と、虚偽の申告が分かったときの扱いを書きます。未成年者の参加を受け付ける場合の契約の組み方は未成年・保護者・家族受講と健康の申告で、配信や映像の利用の同意は撮影・録画・肖像・配信の同意で扱います。

参加費と賞品:賭博・景品の線引き

参加費を集めて賞品を出す大会やイベントでは、賭博罪(刑法185条)と、景品表示法の景品の規制を意識します。有料で景品付きのデジタルビンゴイベントのプラットフォームの利用規約では、参加費に見合う経済的な価値を、ビンゴの成否や抽選の結果に関係なく、参加者の全員に提供することを、イベントを提供する事業者の義務として定めました。参加費が、偶然の結果で得をする人と損をする人の間で移る形にしないための設計です。あわせて、景品表示法の懸賞による景品の制限と、過度な射幸性をあおることの禁止、複数のアカウント・自動のプログラムによる参加・景品の転売の禁止も置いています。システムの障害でイベントが正常に進まなかったときは、提供する事業者が、中止・結果の無効化・再実施・返金のいずれかを選べると定め、障害のときの扱いを事前に示しています。オンラインの大会や抽選のイベントでは、障害で勝敗や当選が左右されたときの扱いを決めておかないと、景品の扱いまで含めて揉めます。

トレーディングカードゲームの大会の主催会社が、各店舗に地域での開催の権利を与える契約では、参加費(定額)は開催する店舗の収益、参加賞や優勝賞品の商品券は店舗の負担、商品券の換金・譲渡・転売の禁止、景品表示法などを守る責任は店舗、と定めていました。開催の権利は独占ではなく譲渡もできず、契約期間はリーグの期間(6か月)に合わせています。商品券の換金・譲渡・転売の禁止は、景品が金銭の代わりとして流通するのを防ぐ定めです。当初の案では1年の自動更新で、遅延損害金も年14.6%でしたが、改訂でリーグの期間に連動させ、遅延損害金は30日を超える遅れに限って年8%としました。同じ契約では、店舗が大会の運営の責任とジャッジの手配の費用を負うこと、景品の負担、主催会社への広報の協力、大会のルールと運営マニュアルを守ること、不可抗力が1か月を超えて続いたら解除できることも定めています。主催会社と各店舗の役割を、お金と運営の両面で分けておく契約です。

参加費と賞品の関係は、大会の形によって判断が分かれます。参加費の使い道(会場費、運営費、配信費など)と、賞品の原資を誰がどこから出すのかを、規約や開催の要項で分けて示しておくことが、検討の出発点になります。

事務所の条文例:発表会と現場活動

ヒヤリングで確かめること 発表会・イベント・大会の規約

  1. 発表会はどのくらいの頻度で、参加は全員か任意か。頻度は一か所で決め、参加しない生徒の扱いと、参加費が発生する時期を書きます。
  2. 参加費・衣装代の内訳と、衣装の発注・会場の手配はいつですか。費用が確定する日を基準に、返金の段階を決めます。
  3. 衣装は買い取りですか、貸与ですか。返すもの、汚損・破損の扱い、返却の期限が変わります。
  4. 生徒を外部の現場・イベントに出しますか。交通費・宿泊費は誰が払いますか。参加の任意性、選ぶ基準、費用の負担を場面ごとに書きます。
  5. 大会の処分の種類と、決める人、本人の言い分を聞く手順、公表の範囲は。試合の前に示す規約に書きます。
  6. 参加費の使い道と、賞品の原資はどこから出しますか。参加費と賞品の関係を分けて示し、景品の規制も確かめます。

条文例発表会の参加費・衣装代(スタジオの会員規約の例)

  1. 発表会の参加費及び衣装代は、クレジットカード又は口座振替により納入するものとします。
  2. 参加の申込み後に会員の都合でキャンセルするときは、申込月の翌月末日までの申出であれば参加費及び衣装代の全額を、翌々月末日までの申出であれば参加費の50パーセントを返金します。それ以降の申出については、返金しません。
  3. 当スタジオ以外の者が主催するイベントへの参加は任意とし、その都度、参加の申込みの手続及び費用を要するものとします。

条文例現場活動とボランティア(着付け教室の教室利用規約の例)

  1. 当教室は、技術の向上及び実践の経験を目的として、会員に現場活動への参加の機会を提供する場合があります。参加の可否及び役割は、会員の技能、協調性その他の事情を考慮して当教室が決定し、参加は当然に保証されるものではありません。
  2. ボランティア活動への参加は、会員の自由な意思による任意のものとし、当教室は、参加しないことのみを理由として会員を不利益に取り扱いません。
  3. 現場活動に要する交通費は、原則として会員の負担とし、主催者から支給があった場合はその範囲で支給します。

起きがちなこと

よくあるご質問

発表会を全員参加にしてもよいですか?

全員参加にすること自体はできますが、入会の時点でその旨と参加費の発生時期を示し、参加しない生徒の扱い(練習期間中のレッスンの内容が一部変わることなど)を規約に書いておきます。外部のイベントへの参加は任意にし、その都度申込みと費用がかかると分けて書く方法があります。

発表会の参加費・衣装代のキャンセルは、いつまで返金すべきですか?

衣装の発注や会場の手配など、費用が確定する時期に合わせて返金の割合を段階的に下げる書き方にします。まだ費用がかかっていない時期の取消しでも全額を取る定めは、その時期に教室に生ずべき平均的な損害を上回る部分について、効力を否定されるおそれがあります(消費者契約法9条1項1号)。

生徒を外部のイベントや現場に出すとき、交通費は誰が負担しますか?

規約で決めておかないと決まりません。原則は自己負担、主催者から支給があればその範囲で支給する、教室が宿泊を指定したら教室の負担、などと場面ごとに書いておきます。ボランティアを任意にするなら、参加しないことだけを理由に不利益に扱わないことも明記します。

大会の失格処分をSNSで公表してもよいですか?

公表するなら、どの処分を、どの範囲(ハンドルネーム、処分の内容)で公表するかを、大会の規約で試合の前に示しておきます。調査の結果が出る前には公表しないこと、処分の前に本人の言い分を聞く手順も書いておくと、争いを防げます。

参加費を集めて賞品を出すと、賭博になりますか?

大会の形によって判断が分かれます。景品付きのイベントでは、参加費に見合う価値を、勝敗や抽選の結果に関係なく参加者の全員に提供する設計にして、参加費が偶然の結果で移らないようにした例があります。参加費の使い道と賞品の原資を分けて示し、景品表示法の景品の規制も確認します。

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