このページの要点
- 契約者は成年に限り、未成年者が受けるときは保護者が契約者となって子を受講者として届け出る。
- 18歳以上の参加者の費用を保護者に負ってもらうなら、保証人本人の入力と極度額の定めが必要。
- 家族で回数を分けるなら、家族の範囲・回数の数え方・録画の閲覧・違反の扱いを決める。
- 健康は診断名で聞かず、必要な配慮を尋ねる。取得の同意を先にとり、申告・協議・承諾の手順を置く。
結論:契約者を先に決め、18歳を境に組み方を変え、家族の範囲と健康の申告の手順を書く
子どもが通う教室や、10代が参加するプログラムの書類で最初に決めるのは、誰が契約の当事者になるかです。未成年者(18歳未満。民法4条)が法定代理人の同意を得ずにした契約は取り消すことができ(同法5条1項・2項)、規約に「申込みがあれば同意を得たものとみなす」と書いても、この取消権は消えません。保護者を契約者にするのか、本人を契約者にして保護者の同意を契約の成立の要件にするのかを、申込みの手順の段階で決めておく必要があります。
そのうえで、18歳になった参加者は本人が契約の当事者になるため、保護者に費用の責任を負ってもらうには保証の形が必要になります。きょうだいや親子で回数を分けて使う教室では家族の範囲を、持病や特性のある子どもが参加するプログラムでは申告と配慮の手順を書きます。このページでは、オンラインの日本語レッスン、ダンス・体操のスタジオ、英会話教室、英語コーチング、英会話伴走プログラム、10代向けの海外団体プログラムの書類から整理します。
誰を契約者にするか:成年の確認と、子どもを受講者として届け出る形
海外に住む人も受講するオンラインの日本語レッスンの案件では、依頼者が用意した規約のドラフトに、未成年者の申込みの扱いと、子どもが受講する場合の契約の当事者の定めがありませんでした。事務所の報告書では、未成年者の同意を契約の成立の要件に組み込み、子どもが受講する場合の契約の当事者を決めるよう指摘しました。海外に住む人の行為能力は、原則としてその人の本国法で決まります(法の適用に関する通則法4条1項)。本国法で行為能力が制限されていても、契約をした地の法律で能力者となる場合の例外(同条2項)は、契約の当時、当事者の全員が法を同じくする地にいたときに限られるため、日本の事業者と海外に住む受講者がオンラインで契約する場面では、使えないことが多くなります。
事務所の改訂例 オンラインレッスンの規約(契約者と受講者)
契約者
理由未成年者の申込みを受けてしまうと、後から取り消されるおそれがあります。成立の要件にしておけば、取り消される契約がそもそも生じません。
子どもの受講
理由お金を払う人・規約を守らせる人と、レッスンを受ける人を分けて定義します。
修正版では、無料体験も成年者か法定代理人が申し込むこととしました。無料でも、録画の同意や連絡先の取得があるためです。申込みの確認メッセージにも「契約者は成年です」という一文を入れ、申込みの返信でそれを確かめる手順にしました(申込みの手順は書類一式と契約の成立)。ダンス・体操のスタジオでは、18歳未満の会員は保護者の同意を得て、保護者の名義で決済し(支払う人と、同意をした保護者を一致させる形です)、入会の時に重要事項説明書を確認したうえで保護者が署名する運用にしていました。同じスタジオでは、レッスンの見学は原則として認めないとしていました。見学を認めない教室では、その旨を入会の時に示しておくと、保護者との行き違いを防げます。着付け教室の入会申込兼受講契約書には親権者の同意の欄を、英語コーチングの利用契約書には法定代理人の同意と、その同意を証する書面の提出を定めています。
反対に、英会話伴走プログラムの受講契約書では、未成年者を対象としないと定め、受講者に成年であることを表明・保証してもらいました。子どもの受講を想定しないサービスなら、対象を絞る設計も選べます。年齢の線は目的によって変わり、契約の能力の問題なら18歳ですが、会員制のバーのように飲酒を伴うサービスでは20歳以上を入会の資格にしていました。オンライン対戦ゲームの大会では、対象のゲームで未成年のプレイが禁じられていることなどから、18歳未満の申請を受け付けず、個人情報も取得しない設計にしています。利用者が主催するイベントの情報を扱うコミュニティのアプリでも、18歳未満の利用を禁じていました(発表会・ライブ・大会・コンテストの参加規約)。
条文例契約者と受講者(オンラインレッスンの規約の例)
- 利用契約を申し込むことができるのは、日本法により成年に達した者(日本国外に住所を有する者については、その本国法によっても成年に達した者)に限ります。成年に達していない者による申込みについては、利用契約は成立せず、当事業者は受領した代金の全額を返還します。
- 未成年者がレッスンを受講するときは、その親権者その他の法定代理人が利用者として申し込み、当該未成年者を受講者として届け出るものとします。受講者は、6歳以上の者とします。
- 受講者がこの規約に違反したときは、利用者がその責任を負います。
18歳の参加者と保護者の保証:年齢で契約の組み方を変える
10歳から18歳までが参加する海外団体プログラムでは、申込みの日の年齢によって契約の組み方を変えました。
| 年齢 | 契約の当事者 | 保護者の位置付け |
|---|---|---|
| 18歳未満 | 保護者が、参加者のために主催者と契約する(第三者のためにする契約) | 保護者が申込者として費用を負う。参加者は参加を始めた時に契約の利益を受ける意思を示したものとし(民法537条3項)、主催者は契約に基づく事情を参加者にも主張できる(同法539条) |
| 18歳以上 | 参加者本人 | 保護者などが、極度額を定めて参加者の債務を連帯保証する(民法446条2項・3項、465条の2) |
| 申込みの後に18歳になる | 申込みの時の組み方のまま | 出発の14日前までに、医療と個人情報についての同意を本人が改めて行う |
18歳以上の参加者の保護者に費用の責任を負ってもらうには、保証の契約が必要です。保証は書面か電磁的記録で結ばなければ効力がなく(民法446条2項・3項)、将来の不特定の債務を保証する個人の根保証は、上限の額(極度額)を決めておかなければ効力がありません(同法465条の2第2項)。そのため、保証は保証人本人が申込みのフォームに入力して同意し、確認のメールを送り、同意の確認が済むまでは主催者が承諾の通知を出さない、という手順にしました。「保護者は連帯して責任を負う」と規約で定義するだけでは、保証の契約として足りないことがあるためです。
依頼者からは、「Googleフォームの同意だけで有効か。PDFへの署名やスマートフォンでの電子署名が必要か」という質問もありました。事務所の回答は、同意のチェックと氏名の入力、控えのメール、規約の版の保存がそろえば有効(民法522条2項、548条の2)で、署名の方式を混在させないほうがよい、というものです。ただし、18歳以上の参加者の保証は、保証人本人の入力が必要だと付け加えています。
年齢の要件は、学年ではなく出発日の時点の満年齢で書くよう勧めました。学年で書くと、早生まれの参加者で年齢と学年が食い違い、保護者の同意で足りるのか保証が必要なのかの判断がずれます。親権者が複数いる場合に、どちらの指示に従うのか(一方が単独で決められる事項、急迫の事情がある場合)も規約に書いています。
18歳未満の参加者について保護者を契約者にし、第三者のためにする契約として組み立てたのは、費用を払うのは保護者でも、プログラムを受けるのは参加者本人だからです。参加者が契約の利益を受ける意思を示した時に、参加者は主催者に直接、プログラムの提供を求める権利を持ちます(民法537条1項・3項)。参加を始めた時にその意思を示したものとする定めを置き、主催者は、保護者との契約に基づく事情(規律の遵守、費用の未払いなど)を参加者にも主張できる(同法539条)ことを書いておけば、参加者本人との関係も規約で説明できます。現地で医療を受ける場面に備えて、医療についての事前の同意は申込みの段階で保護者からとり、申込みの後に18歳になった参加者からは本人の同意をとり直す、という手順もこの組み立てに合わせたものです。
家族で受講する・回数を分けて使う
オンラインの日本語レッスンの案件では、依頼者から「子どもとレッスンを分けて使えるか」という質問がありました。事務所の回答は、できる、というものです。修正版では、一部のプランとレッスンチケットは同一世帯の家族と回数を分けて使えるとし、家族の範囲を「親族で、住居と生計を同じくする6歳以上の人」と定義しました。家族が受けた分も契約者の回数から差し引きます。もう一つのプランは、契約期間ごとに受講者を1名に限っています。
| 項目 | 定め |
|---|---|
| 使える家族の範囲 | 親族で、住居と生計を同じくする6歳以上の人 |
| 回数の数え方 | 家族が受けた分も、契約者の回数から差し引く |
| プランごとの違い | 回数を分けられるプランと、契約期間ごとに受講者1名のプランを分ける |
| 録画の閲覧 | 成年の家族の録画を契約者が見るには、その家族の同意が要る |
| 家族の違反 | 家族の受講者だけが規約に違反したときは、その受講者の届出だけを取り消せる |
家族で回数を分ける設計では、契約者と受講者が別の人になるため、録画の閲覧や違反の扱いのように、誰の同意が要るのか、誰の責任になるのかを一つずつ決めておく必要があります。子どものレッスンの録画は保護者の同意がある場合に限ることなど、録画の扱いは撮影・録画・肖像・配信の同意で扱います。家族で入会する場合の入会金の割引は月謝・会費・入会金・チケットの返金設計で扱います。
健康・特性の申告と、参加をお断りする判断
海外団体プログラムの案件では、依頼者から「申込みのフォームに、精神疾患の有無と反社会的勢力の確認の項目を足したい」という相談がありました。事務所は、反社会的勢力については同意欄で表明・確約してもらう形にし、健康については診断名を直接尋ねず、集団生活などの経験と必要な配慮を尋ねる形にするよう勧めました。病名などの心身の障害や病気の経歴は要配慮個人情報に当たり、集めるには原則として本人の同意が要り(個人情報保護法20条2項)、取得は必要な最小限にとどめるべきだからです。
事務所の改訂例 申込みフォームの健康の質問(海外団体プログラム)
質問の仕方
理由診断名で一律に判断すると、障害を理由とする不当な差別的取扱いと受け取られるおそれがあります。必要なのは診断名ではなく、現地でどのような配慮が要るかの情報です。
反社会的勢力の確認
理由健康の申告とは性質が違うため、同意の欄で扱います。
事業者は、障害を理由として不当な差別的取扱いをしてはならず、障害のある人から社会的障壁の除去を求める意思の表明があれば、負担が過重でない限り、必要かつ合理的な配慮をしなければなりません(障害者差別解消法8条1項・2項)。診断名で一律に参加を断る規約は、この点で問題になります。事務所の草案では、次の手順を規約と申込みのフォームに組み込みました。
健康・特性の申告から承諾までの手順(海外団体プログラム)
- 1 申告フォームでは診断名を直接聞かず、集団生活・長時間の移動・環境の変化の経験と、必要な配慮を尋ねる。本人が団体行動をどう考えているかを保護者が記入する。要配慮個人情報の取得の同意をとってから、健康の質問を表示する。
- 2 個別の協議申告の内容について、主催者と保護者で協議する。診断書などの作成の費用は主催者が負担する。
- 3 提供できる配慮の範囲の確認同行スタッフが個別の付添いをしないことなど、団体行動の前提を申込みの時に確かめる。過重な追加の手配は、事前に合意した場合に限り実費を負担してもらう。
- 4 承諾の判断合意ができず、安全の確保が困難と合理的に判断した場合に限り、申込みを承諾しない又は解除する。
- 5 申告が不正確だったとき申告の不正確を理由とする解除は、故意又は重大な過失による場合に限る。
申告の不正確を理由とする解除を「故意又は重大な過失」に限っておけば、保護者が子どもの状態を正確に把握していない場合や、本人が言い出せない場合まで、解除の理由にはなりません。軽い見落としまで解除の理由にすると、申告の欄そのものが、参加を断るための仕掛けのように受け取られます。体験・アクティビティの予約サービスの規約でも、持病・妊娠・障害などの事前の申告と、提供元が参加を断れることを定めていました。事故のときの責任の分け方は事故・けが・危険の引受けと免責で扱います。
送迎・待機・引渡しと、途中で帰国してもらうとき
子ども向けの教室では、教室の時間の前後に、子どもが誰の管理の下にいるのかを書いておきます。英会話教室の受講規約では、お迎えはレッスンの終了までに玄関で待つ、生徒は迎えが来るまで廊下で待つ、遅れるときはLINEで連絡する、自転車で来る場合やお迎えがない場合と到着・帰宅の時には家に一報する、と書いていました。同じ規約は、駐車場が1台分しかないことも書いていました。ダンス・体操のスタジオの規約では、送迎は保護者の責任としています。商業施設内のレンタルスタジオの利用契約のレビューでも、未成年の生徒の送迎・待機・迷子・引渡しの扱いを書くよう勧めました。
宿泊を伴うプログラムでは、規律に違反した参加者に途中で帰国してもらう場合の手順も、未成年者の安全の問題として書きます。海外団体プログラムの参加規約では、注意、保護者への報告と協議、改善の確認、迎え又は帰国の手配、という順番を定め、迎えが来るまでの待機の間も、見守りの体制、1日3回以上の安否の確認、食事の手配を主催者の義務としました。72時間以内に迎えが来ないときは、主催者が報酬を受けずに申込者の費用で帰国の手続をとる、としています。報酬を受けない形にしたのは、旅行業法との整合をとるためです。途中帰国のときの費用の精算はツアー・遠征・海外プログラムの取消料と旅費で扱います。
年齢・家族・健康について申込みの前に聞くこと
ヒヤリングで確かめること 未成年・家族・健康の申告
- 受講者・参加者の年齢の下限と上限は。未成年者を対象にしますか。対象にしないなら、成年であることの表明を求めます。対象にするなら、契約者を保護者にするか、同意を成立の要件にするかを決めます。
- 海外に住む人が申し込むことはありますか。本国の法律でも成年であることを求めるかを決めます。
- 18歳以上の参加者の費用を、保護者に負ってもらいますか。保証人本人の入力と極度額の定めが必要です。
- 家族で回数を分けて使えるようにしますか。家族の範囲、年齢、回数の数え方、録画の閲覧、違反の扱いを決めます。
- 健康や特性について、何を尋ねる必要がありますか。診断名を直接聞かず、必要な配慮を尋ねる形にし、要配慮個人情報の取得の同意を先にとります。
- 送迎と、教室の前後の待機はどうしますか。引渡しの場所、遅れるときの連絡、迎えがない場合の扱いを書きます。
起きがちなこと
よくあるご質問
子どもの教室は、誰を契約者にすべきですか?
保護者(親権者など)を契約者にし、子どもを受講者として届け出てもらう形が分かりやすい方法です。お金を払う人・規約を守らせる人と、レッスンを受ける人を分けて定義し、受講者の規約違反は契約者の責任とします。
高校生が自分で申し込んできたら、どうすればよいですか?
18歳未満の人が親権者などの同意なしに結んだ契約は、後から取り消される可能性があります(民法5条2項)。規約に「同意があったものとみなす」と置いても取消しの権利はなくならないので、保護者を契約者にするか、保護者の同意を確かめてから契約を成立させる手順にします。
海外に住む未成年者が申し込んできたら、どう扱いますか?
行為能力は原則として本国法で決まります(法の適用に関する通則法4条1項)。日本の法律で成年に達していることに加えて、本国の法律でも成年であることを契約者の要件にし、満たさない申込みでは契約が成立しないと定めた例があります。
18歳の参加者の費用を、保護者に保証してもらうにはどうすればよいですか?
保証は書面か電磁的記録で結ぶ必要があり、個人が一定の範囲の不特定の債務を保証する根保証は、上限の額(極度額)を決めなければ効力がありません(民法446条2項・3項、465条の2)。保証人本人にフォームで入力・同意してもらい、確認のメールを送ってから承諾する手順にします。
申込みのフォームで、病名を聞いてもよいですか?
病気の経歴などは、取り扱いに特に配慮が要る個人情報(要配慮個人情報)に当たり、集めるには原則として本人の同意が必要です。診断名を直接尋ねるより、集団生活などの経験と必要な配慮を尋ねる形にし、取得の同意をとってから質問を表示します。診断名だけで一律に参加を断ることは、障害者差別解消法との関係でも問題になります。
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本ページは一般的な情報提供です。法令の運用や行政の解釈は、改正や個別の事情によって変わることがあります。事務所の改訂例・ご相談の事例として紹介している内容は、アトラス行政書士法人が作成・レビューしてきた教室の会員規約・受講規約・受講契約書・入会申込書、語学教室の概要書面・契約書面、ワークショップ・海外プログラム・大会の参加規約、講師・スタッフとの業務委託契約書、スタジオの利用規約・利用契約書、予約プラットフォームの規約などを、個別の事業者が特定できない形に整理したものです。条文は e-Gov法令検索で確認しています(最終確認日:2026年10月17日)。参考: e-Gov法令検索 / 特定商取引法ガイド(消費者庁) / フリーランス法特設サイト(公正取引委員会) / 観光庁